11月読書会報告

『ハンチバック』(市川沙央)担当 日向武光

2024年11月読書会  課題図書『ハンチパック』  提案者 日向武光
 提案・「新聞の時評の『当事者性とは何かが問われた』とは、どういうことか」

読書会の報告(日向)
11/2(土)の読書会、大雨の予報の中、出席していただきありがとうございました。
難聴のことまで拝領していただき、誠にありがとうございました。外は激しい雨風、雷鳴も聞こえていました。もしかしたら歴史的な一夜になるかもと思いました。

提案は「新聞の時評の『当事者性とは何かが問われた』とは、どういうことか」でした。
時評は「当事者らしいということは、どういうことか」とも言い直される。単直に解すれば「当事者であるということは、是か非かということである」そう考えると分からなくなり、皆さんから教えて頂きたく提案したわけです。

① 『ハンチパック』は、身体障碍者の作品であること、それが社会に訴えた、与えたことは大きい。
② 作者の生きることへの苦悩・願望は、誰も同じであることを改めて知らせた。
このような感想が多く出されました。このことは読書会に来られなかった方も、皆さんが同じだろうと思います。
③ 『ハンチパック』も私小説の流れの中にあると見るなら、一部の性の描写の部分は当事者ではなかろう。インチキだと思う、と言う意見もあります。このことは或いは皆さん同じ様に思われるのではないでしょうか。人間の性の深さをそれによって訴えたことを読めば、作者の功績の方を重く見るべきだ。芥川賞に入ったのもそれだろうという意見です。
  作者の近くには、時代の趣向の流れをよく知る出版関係者の出入りもあったとか、その功罪もなしとは想像され難いと。

一般の人が私小説と評される作品で、現代において同じような性の描写があったら、
昔、田山花袋が「藤村は自殺するのではなかろうか」と言ったように、「この人間はこんな人間か」と、或いは純文学者としての道を絶たれるかもしれない。会員の方の感想にもありましたが、「もっと文学的な表現を」というのも、確かにあるでしょう。

参加者の中から「井上ひさしも、自分を書けと言っている。大事だと思う」との感想も頂きました。有難いご意見を頂いたと思っています。

一人で考え込まない。他の人の意見も聞いてみるべきだ。ということを思いました。ありがとうございました。

                     2024年11月6日 日向武光

2024/11/6